LLM 疲れと、少し離れる時間


この前、ししかわさんが「スマホ断ちみたいに、LLM 断ちの時間が必要かもしれない」と言っていました。ここ二週間くらいの自分の感覚を振り返ると、その言葉はかなり正しかった気がします。

Hermes を入れてから、毎日 Slack 越しに新技術の素振りやバイブコーディングができる環境がだいぶ整ってきました。いつもなら、ぼんやりアイディアを考えて終わるようなものでも、その場で具体的なコードに落とし込めます。これはかなり良い体験です。思いつきが、ただの思いつきのまま消えにくくなりました。

一方で、その便利さはそのまま負荷にもなります。移動中でも、食事中でも、風呂の時間でも、「あれを試せる」「この設計を今のうちに詰められる」と頭が回り続けます。仕事が終わったあとに技術で遊んでいるはずなのに、感覚としては常に仕事の延長線にいます。集中できるのは良いことですが、過集中が一日中続くと、さすがに消耗します。

開発速度が上がると、開発の密度も上がる

LLM で変わったのは、単に速くなったことだけではないと思っています。開発の密度そのものが上がりました。

以前なら、調べる、考える、先延ばしにする、で自然に間が空いていました。いまは問いを投げると、すぐに叩き台が返ってきます。そこから修正して、また次を試せます。このループが短くなったぶん、手数が増えます。結果として、一日に処理する判断の量も増えました。

この感じには、少しだけ Frontend Fatigue の記憶があります。あの頃も、追うべきものが多すぎて、常に置いていかれそうな気配がありました。ただ、今回はもっと生活に近いところまで侵食してきます。開発環境が常に手元にあり、しかも応答が速いので、休む理由を自分で作らないと止まりません。

OpenClaw を試し始めた二週間は、かなり疲れた

OpenClaw を試用し始めてからの二週間は、正直かなり疲れました。繁忙期と重なったのも半分ありますが、それだけでは説明しきれない疲れ方でした。

新しい道具を試すときは、普通なら「便利になった」で終わることがあります。でも今回は、便利になったぶんだけ、自分の脳のアイドル時間が削られていく感じがありました。思考の助走がそのまま実装に接続されるので、切り上げどころが見えにくいです。

これはツールが悪いという話ではありません。むしろ逆で、ちゃんと役に立つからこそ起きる疲れだと思います。よく働く道具は、使う側の生活まで押し広げてきます。

LLM 断ちの時間を、先に確保した方がよさそう

だから最近は、LLM を使う時間を増やす工夫だけでなく、使わない時間を先に決めた方がいいのではと考えています。

スマホ断ちと同じで、意思の強さだけで距離を取るのは難しいです。Slack を閉じる時間を決めるとか、散歩のあいだは何も試さないとか、風呂には問いを持ち込まないとか、そのくらい雑でも境界線が必要そうです。

新しい道具で開発の幅が広がるのは、やはり楽しいです。Hermes で毎日素振りできる環境にもかなり助けられています。ただ、その楽しさが常時接続に変わるなら、少しだけ意識して離れる時間も要る。

この前ししかわさんが言っていた「LLM 断ち」は、たぶん冗談半分ではなく、普通に運用の話なのだと思います。